「造園施工管理技士に興味があるけれど、『造園技能士』とは何が違うのか」「1級と2級でできることはどう違うのか」と、入口で迷う方は少なくありません。本記事では、造園施工管理技士を、全国建設研修センター・国土交通省などの一次情報をもとに解説します。
施工管理技士は7種目あり、本記事はそのうち造園種目に固有の内容(造園技能士との違い・対象となる工事・1級と2級の役割・試験の変更点・最新の合格率)に絞ってお伝えします。受験資格や費用、講座選びなど7種目に共通する仕組みは、それぞれのまとめ記事へリンクで案内します。資格全体の位置づけは 施工管理技士とは|7種目・1級と2級の違い・できること・将来性 をご覧ください。
なお本記事は、データに基づく中立性を保つことを編集方針としています。詳しくは 編集ポリシー と 免責事項 をご覧ください。
1. 結論先出し ── 造園施工管理技士の要点3つ
最初に、造園施工管理技士の要点を3つに整理しておきます。
- 実施機関は全国建設研修センター:造園施工管理技術検定は、国土交通大臣が指定した一般財団法人 全国建設研修センターが実施します(土木・管工事と同じ機関で、建築・電気工事の建設業振興基金とは別です)
- 造園は1級・2級とも種別がなく、対応する建設業は「造園工事業」:建築や土木のように複数の種別から選ぶ必要はありません。合格すると、造園工事業の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たします
- 「造園技能士」とは別の資格:造園施工管理技士は施工を計画・管理する資格で、植栽などの現場作業の技能を認定する造園技能士とは、所管も性格も異なります(詳しくは次章)
それぞれのポイントを、詳しく見ていきます。
2. 造園施工管理技士とは ── 対象工事と実施機関
造園施工管理技士は、庭園・公園・緑地などの造園工事の現場で、施工を計画・管理するための国家資格です。工程・品質・安全・原価といった管理を行い、造園工事の現場をまとめる役割を担います。実際の担当範囲や役割は、勤務先・経験年数・配置条件などによって異なります。造園が具体的にどのような工事を含むかは、このあと詳しく見ていきます。
造園施工管理技術検定を実施するのは、一般財団法人 全国建設研修センター(国土交通大臣が指定した試験機関)です。施工管理技士の7種目は種目ごとに実施機関が異なり、造園施工管理は土木・管工事施工管理と同じ全国建設研修センターが担当しています(建築・電気工事施工管理は建設業振興基金が担当)。7種目それぞれの対象工事と実施機関の一覧は、施工管理技士とは でまとめています。
2.1 造園施工管理技士と造園技能士の違い
造園に関わる資格には、名前のよく似た造園技能士があります。この2つは別の資格です。
- 造園施工管理技士:建設業法に基づく国家資格(国土交通省系)。造園工事の現場で、工程・品質・安全などの施工を計画・管理するための資格です。
- 造園技能士:職業能力開発促進法に基づく技能検定(厚生労働省系)。植栽や剪定など、造園の現場作業の技能を認定する資格です。
両者は「現場を管理する」「作業の技能を認定する」という役割が異なり、どちらかが上位という関係ではありません。本記事では、このうち造園施工管理技士に絞って解説します。
3. 1級と2級でできること(造園種目)
造園施工管理技士は、「資格を持つ人だけが特定の作業をできる」というタイプの資格ではなく、工事現場への配置が義務づけられている技術者(主任技術者・監理技術者)になるための資格です。1級と2級では、満たせる要件の範囲が異なります。
3.1 2級造園施工管理技士でできること
2級造園施工管理技士は、造園工事で主任技術者の資格要件を満たします。また、一般建設業の営業所に置く専任技術者にもなれます。主任技術者は、元請・下請を問わず工事現場への配置が義務づけられる技術者です。
3.2 1級造園施工管理技士でできること
1級造園施工管理技士は、主任技術者に加えて、大規模な工事で配置が義務づけられる監理技術者の資格要件を満たします。また、特定建設業の営業所に置く専任技術者にもなれます。
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監理技術者が必要になる工事の規模(下請契約金額の要件)や、主任技術者・監理技術者の制度は、造園種目に固有のものではなく7種目に共通します。詳しくは 施工管理技士とは で整理しています。
なお、造園は建設業法上の「指定建設業」(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種)の一つです。指定建設業では、特定建設業の許可や監理技術者の要件として1級の国家資格などが求められ、実務経験だけでは満たせない点が定められています。
※令和6年12月の建設業法改正により、「専任技術者」は「営業所技術者」(一般建設業)・「特定営業所技術者」(特定建設業)に呼称が変更されています。本記事では、読みやすさの観点から、慣用的に使われている「専任技術者」の表記に合わせています。
4. 受験資格(造園の補足)
令和6年度(2024年度)の改正で、受験資格の考え方が変わりました。造園種目も、この枠組みが適用されます。
- 第一次検定:1級は19歳以上、2級は17歳以上(いずれも受験年度末時点)であれば、実務経験がなくても受験できます。
- 第二次検定:第一次合格後の実務経験が必要です(合格すると「技士」)。
もう一歩詳しく
学歴別に必要な実務年数、改正前の受験資格が使える経過措置(令和10年度まで)、第一次・第二次の同時受験の可否といった詳しいルートは、7種目に共通する内容として 施工管理技士の受験資格をわかりやすく解説|1級・2級の実務経験と新旧の違い で扱っています。
5. 造園が扱う工事と「造園工事業」
造園種目で押さえておきたいのが、対象となる工事の範囲です。建築や土木の種目には2級に複数の種別がありますが、造園には1級・2級とも種別の区分がありません。
5.1 造園が扱う工事の範囲
造園工事は、建設業法の業種区分では「整地、樹木の植栽、景石のすえ付けなどにより庭園・公園・緑地などの苑地を築造し、道路・建築物の屋上などを緑化し、または植生を復元する工事」とされています。庭園づくりだけでなく、公園・緑地・都市緑化まで幅広く含むのが特徴です。代表的な工事の例は次のとおりです。
- 植栽工事:樹木・草花などの植え付け、植生の復元
- 地被工事・緑地育成工事:芝生・地被植物の植え付け、植物の育成
- 景石工事・地ごしらえ工事:庭石の据え付け、植栽の下地づくり
- 公園設備工事:花壇・噴水などの修景施設、休憩所、遊戯施設など
- 広場工事・園路工事:修景広場・芝生広場、遊歩道・緑道など
- 水景工事・屋上等緑化工事:池や流れなどの水景、建物の屋上・壁面の緑化
5.2 対応する建設業の種類は「造園工事業」
建設業の許可業種では、こうした造園に関わる工事が「造園工事業」に区分されています。造園施工管理技士を取得すると、この「造園工事業」の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たします。
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建築や土木の種目では、受験する種別によって対応する建設業の種類が分かれます。一方、造園は対応する建設業が「造園工事業」の1業種にまとまっているため、出願時に種別を選ぶ必要がありません。なお、よく似た工事でも、人工芝の舗装は「舗装工事業」、のり面の種子吹付けは「とび・土工工事業」に区分されるなど、造園工事業に当たるかどうかは建設業法に基づく業種区分で定められています。
6. 造園種目の合格率データ
造園種目の合格率を、全国建設研修センターの公表データ(直近3年度)で見ていきます。合格率は年度によって変動するため、年度・区分をセットで確認するのが基本です。
6.1 1級造園施工管理技術検定の合格率
| 年度 | 第一次(受検者/合格者/合格率) | 第二次(受検者/合格者/合格率) |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 3,290/1,713/52.1% | 1,979/890/45.0% |
| 令和6年度 | 3,451/1,566/45.4% | 1,696/678/40.0% |
| 令和5年度 | 2,754/970/35.2% | - |
(出典:全国建設研修センター「1級造園施工管理技術検定 試験結果」/取得日 2026-05-29。令和5年度の第二次は本資料に参考記載がないため省略しています)
6.2 2級造園施工管理技術検定の合格率
| 年度 | 第一次(受検者/合格者/合格率) | 第二次(受検者/合格者/合格率) |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 2,439/1,212/49.7% | 2,300/1,160/50.4% |
| 令和6年度 | 2,708/1,369/50.6% | 2,326/1,146/49.3% |
(出典:全国建設研修センター「2級造園施工管理技術検定 試験結果」/取得日 2026-05-29。2級の第一次検定は前期・後期に分けて実施されます。上表は令和7年度の合計値です。造園には種別の区分がないため、種別別の合格率はありません)
データを読み解く
公表されている合格率で見るかぎり、造園種目はおおむね第一次・第二次とも4〜5割前後で推移していますが、年度によって数値は動きます(1級第一次は令和5年度35.2%→令和7年度52.1%)。合格率は「難易度の目安」のひとつにはなりますが、年度ごとの上下だけで「難しくなった/易しくなった」と判断することはできません。最終的な合否は、本人の学習量・経験・受験対策によって変わります。
なお、2級第一次検定の合格基準は、他の多くの種目が「得点60%以上(40問中24問以上)」であるのに対し、造園は「得点57.5%以上(40問中23問以上)」とされています。基準が異なるため、合格率を他種目と単純に比べることはできません。他の種目との比較や数字の見方は、施工管理技士の難易度・合格率を一次データで解説 で扱っています。
7. 令和6年度からの試験の変更点
令和6年度(2024年度)の受験資格の改正にあわせて、造園施工管理技術検定の第二次検定の出題が見直されています(全国建設研修センターの公表による)。
受検者本人の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、令和5年度まで出題されていた「現場で経験した造園工事を1つ選び、工程管理・品質管理上の課題などについて答える」形式の設問がとりやめられました。あわせて、第二次検定の問題はすべて必須問題となり、選択問題はなくなりました。
学習にあたっては、過去問の丸暗記だけでなく、施工管理の考え方を理解しておくことが大切です。
8. 試験スケジュールと申し込み
造園施工管理技術検定は、第一次検定(マークシート方式の択一式)と第二次検定(記述式を含む)で構成されます。試験日は年度によって変わりますが、近年の実施時期は次のとおりです(全国建設研修センター)。
- 1級:第一次検定は例年9月ごろ、第二次検定は12月ごろ
- 2級:第一次検定(前期)は6月ごろ、後期は第一次・第二次を11月ごろに同日実施
申し込みは、全国建設研修センターのWebサイトからのインターネット申請、または書面での申請ができます。実務経験の証明が必要な場合など、申請方法が指定されている場合があります。最新の日程・申請方法・受検手数料は、必ず全国建設研修センターの公式情報でご確認ください。受験にかかる費用や教育訓練給付金の使い方は、施工管理技士の取得費用はいくら?受検手数料・講座費・給付金まで【種目別】 で解説しています。
9. よくある質問(FAQ)
Q:造園に種別はありますか?
A:ありません。建築や土木の種目には2級に複数の種別がありますが、造園は1級・2級とも種別の区分がなく、単一の検定です。合格すると、造園工事業の主任技術者・監理技術者の資格要件を満たします。
Q:造園施工管理技士と造園技能士は何が違いますか?
A:別の資格です。造園施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格(国土交通省系)で、造園工事の施工を計画・管理するための資格です。一方、造園技能士は、職業能力開発促進法に基づく技能検定(厚生労働省系)で、植栽や剪定など造園の現場作業の技能を認定する資格です。役割が異なり、どちらかが上位という関係ではありません。
Q:いきなり1級から受けられますか? 2級を先に取るべきですか?
A:1級の第一次検定は19歳以上(受験年度末時点)であれば、2級を取っていなくても受験できます。ただし、1級の第二次検定(合格すると1級技士)には第一次合格後の実務経験が必要です。どちらから受けるべきかは状況によるため一概には言えません。詳しい受験ルートは 施工管理技士の受験資格 をご覧ください。
Q:第二次検定では、経験を記述する問題はなくなったのですか?
A:令和6年度から、令和5年度まで出題されていた「現場で経験した造園工事を1つ選び、工程管理・品質管理上の課題などについて答える」形式の設問がとりやめられ、第二次検定の問題はすべて必須問題になりました。ただし、第二次検定には第一次合格後の実務経験が必要で、施工管理の考え方を踏まえて解答する設問が含まれます。
Q:造園は他の種目より難しいですか?
A:合格率は年度によって変動し、種目ごとに受験者層や合格基準も異なるため、合格率だけで難易度を比較することはできません。種目別の合格率の見方は 施工管理技士の難易度・合格率を一次データで解説 で整理しています。
10. まとめ ── 造園種目は「造園技能士との違い」と「最新データ」を押さえる
本記事では、造園施工管理技士を造園種目に固有の視点で解説してきました。
- 実施機関は全国建設研修センター:造園施工管理技術検定を実施する(土木・管工事と同じ機関・建築や電気工事の建設業振興基金とは別)
- 造園は1級・2級とも種別なし・対応は「造園工事業」:庭園・公園・緑地などの造園工事を幅広くカバーし、合格すると造園工事業の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たす
- 「造園技能士」とは別の資格:施工管理技士は施工を管理する資格、技能士は現場作業の技能を認定する資格
- 合格率は年度・区分とセットで見る:年度によって動く。難易度は断定できず、最終的な合否は本人の学習量・経験による
造園は、1級・2級とも種別の区分がない種目です。まずは「造園技能士との違い」を押さえたうえで、「1級・2級でできることの違い」を確認しておくと、受験の流れが把握しやすくなります。受験資格・費用・講座・難易度といった7種目に共通する内容は、それぞれの記事で深掘りしています。
次に読むべき記事
出典
- 全国建設研修センター「技術検定(造園施工管理ほか)」(1級・2級の試験結果/受検の手引/試験問題の見直し/試験日程/取得日 2026-05-29)
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」(受験資格改正/取得日 2026-05-29)
- 建設業法(e-Gov 法令検索)(主任技術者・監理技術者の配置義務/造園工事業の業種区分/指定建設業/取得日 2026-05-29)
文責:現場エンジン編集部
最終更新日:2026-05-29
