「電気通信工事施工管理技士に興味があるけれど、『電気通信主任技術者』や『工事担任者』とは何が違うのか」「1級と2級でできることはどう違うのか」と、入口で迷う方は少なくありません。本記事では、電気通信工事施工管理技士を、全国建設研修センター・国土交通省などの一次情報をもとに解説します。
施工管理技士は7種目あり、本記事はそのうち電気通信工事種目に固有の内容(似た資格との違い・対象となる工事・1級と2級の役割・試験の変更点・最新の合格率)に絞ってお伝えします。受験資格や費用、講座選びなど7種目に共通する仕組みは、それぞれのまとめ記事へリンクで案内します。資格全体の位置づけは 施工管理技士とは|7種目・1級と2級の違い・できること・将来性 をご覧ください。
なお本記事は、データに基づく中立性を保つことを編集方針としています。詳しくは 編集ポリシー と 免責事項 をご覧ください。
1. 結論先出し ── 電気通信工事施工管理技士の要点3つ
最初に、電気通信工事施工管理技士の要点を3つに整理しておきます。
- 実施機関は全国建設研修センター:電気通信工事施工管理技術検定は、国土交通大臣が指定した一般財団法人 全国建設研修センターが実施します(土木・管工事・造園と同じ機関で、建築・電気工事の建設業振興基金とは別です)
- 電気通信工事は1級・2級とも種別がなく、対応する建設業は「電気通信工事業」:建築や土木のように複数の種別から選ぶ必要はありません。合格すると、電気通信工事業の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たします
- 「電気通信主任技術者」「工事担任者」とは別の資格:電気通信工事施工管理技士は施工を計画・管理する資格で、所管も性格も異なる別の資格です(詳しくは次章)
それぞれのポイントを、詳しく見ていきます。
2. 電気通信工事施工管理技士とは ── 対象工事と実施機関
電気通信工事施工管理技士は、有線・無線の通信設備やネットワーク設備などの電気通信工事の現場で、施工を計画・管理するための国家資格です。工程・品質・安全・原価といった管理を行い、電気通信工事の現場をまとめる役割を担います。実際の担当範囲や役割は、勤務先・経験年数・配置条件などによって異なります。電気通信工事が具体的にどのような工事を含むかは、このあと詳しく見ていきます。
この資格は、令和元年度(2019年度)に新設された、施工管理技士7種目のなかで最も新しい種目です。電気通信工事を施工管理の対象として位置づけるために設けられました。
電気通信工事施工管理技術検定を実施するのは、一般財団法人 全国建設研修センター(国土交通大臣が指定した試験機関)です。施工管理技士の7種目は種目ごとに実施機関が異なり、電気通信工事施工管理は土木・管工事・造園施工管理と同じ全国建設研修センターが担当しています(建築・電気工事施工管理は建設業振興基金が担当)。7種目それぞれの対象工事と実施機関の一覧は、施工管理技士とは でまとめています。
2.1 電気通信主任技術者・工事担任者との違い
電気通信に関わる資格には、名前のよく似た電気通信主任技術者や工事担任者があります。これらは電気通信工事施工管理技士とは別の資格です。
- 電気通信工事施工管理技士:建設業法に基づく国家資格(国土交通省系)。電気通信工事の現場で、工程・品質・安全などの施工を計画・管理するための資格です。
- 電気通信主任技術者・工事担任者:電気通信事業法に基づく国家資格(総務省系)。電気通信設備の工事・維持・運用の監督(電気通信主任技術者)や、端末設備などを通信回線につなぐ接続工事(工事担任者)を担う資格です。
両者は所管する省庁も役割も異なり、どちらかが上位という関係ではありません。本記事では、このうち電気通信工事施工管理技士に絞って解説します。なお、名前の似た「電気工事施工管理技士」とは別の種目です(その違いはFAQで触れます)。
3. 1級と2級でできること(電気通信工事種目)
電気通信工事施工管理技士は、「資格を持つ人だけが特定の作業をできる」というタイプの資格ではなく、工事現場への配置が義務づけられている技術者(主任技術者・監理技術者)になるための資格です。1級と2級では、満たせる要件の範囲が異なります。
3.1 2級電気通信工事施工管理技士でできること
2級電気通信工事施工管理技士は、電気通信工事で主任技術者の資格要件を満たします。また、一般建設業の営業所に置く専任技術者にもなれます。主任技術者は、元請・下請を問わず工事現場への配置が義務づけられる技術者です。
3.2 1級電気通信工事施工管理技士でできること
1級電気通信工事施工管理技士は、主任技術者に加えて、大規模な工事で配置が義務づけられる監理技術者の資格要件を満たします。また、特定建設業の営業所に置く専任技術者にもなれます。
もう一歩詳しく
監理技術者が必要になる工事の規模(下請契約金額の要件)や、主任技術者・監理技術者の制度は、電気通信工事種目に固有のものではなく7種目に共通します。詳しくは 施工管理技士とは で整理しています。
※令和6年12月の建設業法改正により、「専任技術者」は「営業所技術者」(一般建設業)・「特定営業所技術者」(特定建設業)に呼称が変更されています。本記事では、読みやすさの観点から、慣用的に使われている「専任技術者」の表記に合わせています。
4. 受験資格(電気通信工事の補足)
令和6年度(2024年度)の改正で、受験資格の考え方が変わりました。電気通信工事種目も、この枠組みが適用されます。
- 第一次検定:1級は19歳以上、2級は17歳以上(いずれも受験年度末時点)であれば、実務経験がなくても受験できます。
- 第二次検定:第一次合格後の実務経験が必要です(合格すると「技士」)。
なお、2級は制度開始当初(令和元年度)から、17歳以上であれば受験できます。
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学歴別に必要な実務年数、改正前の受験資格が使える経過措置(令和10年度まで)、第一次・第二次の同時受験の可否といった詳しいルートは、7種目に共通する内容として 施工管理技士の受験資格をわかりやすく解説|1級・2級の実務経験と新旧の違い で扱っています。
5. 電気通信工事が扱う工事と「電気通信工事業」
電気通信工事種目で押さえておきたいのが、対象となる工事の範囲です。建築や土木の種目には2級に複数の種別がありますが、電気通信工事には1級・2級とも種別の区分がありません。
5.1 電気通信工事が扱う工事の範囲
電気通信工事は、建設業法の業種区分では「有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備などの電気通信設備を設置する工事」とされています。代表的な工事の例は次のとおりです。
- 有線電気通信設備工事・無線電気通信設備工事:電話・通信回線、携帯電話の基地局など
- データ通信設備工事・情報処理設備工事:LAN、光ファイバー、サーバーなどの情報通信設備
- 情報収集設備工事・情報表示設備工事:監視カメラ、案内表示などの設備
- 放送機械設備工事・TV電波障害防除設備工事:放送設備、共同受信設備など
身近な電話・インターネット・放送から、携帯電話の基地局やデータセンターまで、幅広い通信設備を対象とします。
5.2 対応する建設業の種類は「電気通信工事業」
建設業の許可業種では、こうした電気通信に関わる工事が「電気通信工事業」に区分されています。電気通信工事施工管理技士を取得すると、この「電気通信工事業」の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たします。
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建築や土木の種目では、受験する種別によって対応する建設業の種類が分かれます。一方、電気通信工事は対応する建設業が「電気通信工事業」の1業種にまとまっているため、出願時に種別を選ぶ必要がありません。なお、すでに設置された電気通信設備の改修・修繕は電気通信工事に含まれますが、点検・整備・修理といった保守の役務提供は建設工事には当たりません。どの工事が電気通信工事業に当たるかは、建設業法に基づく業種区分で定められています。
6. 電気通信工事種目の合格率データ
電気通信工事種目の合格率を、全国建設研修センターの公表データ(直近3年度)で見ていきます。合格率は年度によって変動するため、年度・区分をセットで確認するのが基本です。
6.1 1級電気通信工事施工管理技術検定の合格率
| 年度 | 第一次(受検者/合格者/合格率) | 第二次(受検者/合格者/合格率) |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 8,616/5,960/69.2% | 5,435/1,971/36.3% |
| 令和6年度 | 7,997/3,240/40.5% | 4,650/1,904/40.9% |
| 令和5年度 | 6,073/3,108/51.2% | - |
(出典:全国建設研修センター「1級電気通信工事施工管理技術検定 試験結果」/取得日 2026-05-29。令和5年度の第二次は本資料に参考記載がないため省略しています)
6.2 2級電気通信工事施工管理技術検定の合格率
| 年度 | 第一次(受検者/合格者/合格率) | 第二次(受検者/合格者/合格率) |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 1,920/1,498/78.0% | 2,324/1,468/63.2% |
| 令和6年度 | 2,169/1,488/68.6% | 2,843/1,512/53.2% |
(出典:全国建設研修センター「2級電気通信工事施工管理技術検定 試験結果」/取得日 2026-05-29。2級の第一次検定は前期・後期に分けて実施されます。上表は令和7年度の合計値です)
データを読み解く
公表されている合格率で見るかぎり、1級は第一次の合格率が高く、第二次が低い傾向が見られます(令和7年度は第一次69.2%・第二次36.3%)。一方、年度による変動も大きく、1級第一次は令和5年度51.2%→令和6年度40.5%→令和7年度69.2%と動いています。電気通信工事は令和元年度に新設された新しい種目で、年度ごとのデータの幅が比較的大きい点もふまえておくとよいでしょう。合格率は「難易度の目安」のひとつにはなりますが、年度ごとの上下だけで「難しくなった/易しくなった」と判断することはできません。最終的な合否は、本人の学習量・経験・受験対策によって変わります。他の種目との比較や数字の見方は、施工管理技士の難易度・合格率を一次データで解説 で扱っています。
7. 令和6年度からの試験の変更点
令和6年度(2024年度)の受験資格の改正にあわせて、電気通信工事施工管理技術検定の出題が見直されています(全国建設研修センターの公表による)。電気通信工事種目に関わる主な変更は次のとおりです。
- 第一次検定:1級の第一次検定で、電気通信工学の基礎知識を確認できるよう、工学基礎問題の割合を増やす方向で見直されました。
- 第二次検定:受検者本人の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、1級・2級ともに、幅広い視点からより具体的な施工経験を確認する設問として見直されました。
第二次検定では、経験を問う設問がなくなったわけではありません。より具体的に施工経験を確認する方向への見直しです。学習にあたっては、過去問の丸暗記だけでなく、施工管理の考え方を理解しておくことが大切です。
8. 試験スケジュールと申し込み
電気通信工事施工管理技術検定は、第一次検定と第二次検定で構成されます。試験日は年度によって変わりますが、近年の実施時期は次のとおりです(全国建設研修センター)。
- 1級:第一次検定は例年9月ごろ、第二次検定は12月ごろ
- 2級:第一次検定(前期)は6月ごろ、後期は第一次・第二次を11月ごろに同日実施
申し込みは、全国建設研修センターのWebサイトからのインターネット申請、または書面での申請ができます。実務経験の証明が必要な場合など、申請方法が指定されている場合があります。最新の日程・申請方法・受検手数料は、必ず全国建設研修センターの公式情報でご確認ください。受験にかかる費用や教育訓練給付金の使い方は、施工管理技士の取得費用はいくら?受検手数料・講座費・給付金まで【種目別】 で解説しています。
9. よくある質問(FAQ)
Q:電気通信工事に種別はありますか?
A:ありません。建築や土木の種目には2級に複数の種別がありますが、電気通信工事は1級・2級とも種別の区分がなく、単一の検定です。合格すると、電気通信工事業の主任技術者・監理技術者の資格要件を満たします。
Q:電気通信工事施工管理技士と、電気通信主任技術者・工事担任者は何が違いますか?
A:別の資格です。電気通信工事施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格(国土交通省系)で、電気通信工事の施工を計画・管理するための資格です。一方、電気通信主任技術者・工事担任者は、電気通信事業法に基づく国家資格(総務省系)で、電気通信設備の工事・維持・運用や、端末設備などの接続工事を担う資格です。所管も役割も異なり、どちらかが上位という関係ではありません。
Q:電気通信工事施工管理技士と電気工事施工管理技士は何が違いますか?
A:別の種目です。電気通信工事施工管理技士は電話・通信回線・LANなどの電気通信設備を扱う「電気通信工事業」の資格で、実施機関は全国建設研修センターです。電気工事施工管理技士は発電・変電・送配電や建物の電気設備を扱う「電気工事業」の資格で、実施機関は建設業振興基金です。詳しくは 電気工事施工管理技士とは|電気工事士との違い・1級と2級でできること・最新の合格率 をご覧ください。
Q:いきなり1級から受けられますか? 2級を先に取るべきですか?
A:1級の第一次検定は19歳以上(受験年度末時点)であれば、2級を取っていなくても受験できます。ただし、1級の第二次検定(合格すると1級技士)には第一次合格後の実務経験が必要です。どちらから受けるべきかは状況によるため一概には言えません。詳しい受験ルートは 施工管理技士の受験資格 をご覧ください。
Q:第二次検定では、経験を記述する問題はなくなったのですか?
A:なくなってはいません。令和6年度からは、受検者本人の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、幅広い視点からより具体的な施工経験を確認する設問へと見直されています。第二次検定には第一次合格後の実務経験が必要で、施工管理の考え方を踏まえて解答する設問が含まれます。
Q:電気通信工事は他の種目より難しいですか?
A:合格率は年度によって変動し、種目ごとに受験者層も異なるため、合格率だけで難易度を比較することはできません。種目別の合格率の見方は 施工管理技士の難易度・合格率を一次データで解説 で整理しています。
10. まとめ ── 電気通信工事種目は「似た資格との違い」と「最新データ」を押さえる
本記事では、電気通信工事施工管理技士を電気通信工事種目に固有の視点で解説してきました。
- 実施機関は全国建設研修センター:電気通信工事施工管理技術検定を実施する(土木・管工事・造園と同じ機関・建築や電気工事の建設業振興基金とは別)
- 電気通信工事は1級・2級とも種別なし・対応は「電気通信工事業」:有線・無線の通信設備などの電気通信工事を幅広くカバーし、合格すると電気通信工事業の主任技術者(2級)・監理技術者(1級)の資格要件を満たす
- 「電気通信主任技術者」「工事担任者」とは別の資格:施工管理技士は施工を管理する資格(国交省系)、これらは設備の工事・維持・運用などを担う資格(総務省系)
- 合格率は年度・区分とセットで見る:1級は第一次が高く第二次が低い傾向で、年度による変動も大きい。難易度は断定できず、最終的な合否は本人の学習量・経験による
電気通信工事は、建築や土木のような種別の区分がなく、単一の検定として実施されています。まずは「似た名前の資格との違い」と「1級・2級でできることの違い」を整理しておくと、この資格の位置づけを理解しやすくなります。受験資格・費用・講座・難易度といった7種目に共通する内容は、それぞれの記事で深掘りしています。
次に読むべき記事
出典
- 全国建設研修センター「技術検定(電気通信工事施工管理ほか)」(1級・2級の試験結果/受検の手引/試験問題の見直し/試験日程/取得日 2026-05-29)
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」(受験資格改正/取得日 2026-05-29)
- 建設業法(e-Gov 法令検索)(主任技術者・監理技術者の配置義務/電気通信工事業の業種区分/取得日 2026-05-29)
文責:現場エンジン編集部
最終更新日:2026-05-29
